矯正で抜歯4本、一気にやるべき?メリット・リスクを解説
矯正治療を進めるうえで、抜歯が必要になるケースがあります。特に成人矯正では、歯を正しい位置に移動させるために抜歯を行うことが一般的です。中でも、上下左右の小臼歯4本を抜くケースは珍しくありません。そこで「4本の歯を一気に抜いてしまったほうがいいのか?」という疑問を持つ患者さまも多いでしょう。この記事では、矯正治療で抜歯を行う理由や、4本を一度に抜くべきかどうかについて、メリット・リスクを交えて詳しく解説します。
▼そもそも矯正で抜歯する理由は?
矯正治療において抜歯が必要になる主な理由は、歯並びを整えるためのスペースを確保することです。特に、以下のようなケースでは抜歯が推奨されることがあります。
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歯が大きすぎる、または顎が小さい
歯が適切に並ぶためには十分なスペースが必要です。しかし、歯が大きすぎたり、顎が小さすぎたりすると、歯がきれいに並びきらず、ガタガタの歯並び(叢生)が生じます。そのため、スペースを確保するために抜歯が必要となります。
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出っ歯や口元の突出感を改善するため
前歯が前に出ていると、口元のバランスが悪くなり、口が閉じにくくなることがあります。小臼歯を抜歯することで、前歯を後ろに下げ、口元のバランスを整えることができます。
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噛み合わせを改善するため
歯の位置が悪いと、上下の噛み合わせにズレが生じ、食事や発音に影響を与えることがあります。抜歯を行ってスペースを確保することで、適切な噛み合わせを実現できます。
▼矯正では抜歯4本を一気に行うべきではない
基本的に、矯正治療で抜歯を行う際は1本ずつ、もしくは左右の2本ずつ抜くことが一般的です。4本を一度に抜くケースは稀であり、多くの歯科医師が慎重に判断します。その理由として、以下の点が挙げられます。
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身体への負担が大きい
一度に4本の歯を抜くと、出血や痛み、腫れが強く出る可能性があります。また、抜歯後は食事のしづらさや違和感が生じるため、生活に支障をきたすこともあります。
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咬合バランスの変化
一気に抜歯を行うことで、一時的に噛み合わせのバランスが崩れることがあります。特に奥歯での噛みづらさが生じる可能性があるため、慎重に治療計画を立てる必要があります。
◎まれに一気に抜歯するケースもある
患者さまの希望や、特別な理由がある場合には4本を一度に抜歯することもあります。例えば、以下のような場合が考えられます。
・遠方からの通院で、抜歯回数を減らしたい場合
・全身疾患があり、抜歯の回数を最小限にしたい場合
・手術などの都合で、早く矯正治療を進める必要がある場合
ただし、これらのケースでも慎重な判断が必要です。
▼矯正で抜歯4本を一気に行うメリット
一度に4本の抜歯を行うことには、以下のようなメリットがあります。
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治療期間の短縮
複数回に分けて抜歯を行う場合、その都度治癒期間が必要です。一度に4本抜けば、矯正治療の開始までの期間を短縮できる可能性があります。
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通院回数の減少
抜歯のために何度も通院する必要がなく、一度の処置で済むため、時間の節約につながります。特に遠方から通う患者さまにとってはメリットが大きいでしょう。
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一貫した治療計画の実施
すべての抜歯を同時に行うことで、矯正装置の装着までの計画が立てやすくなります。部分的に抜歯を進めるよりも、治療の進行がスムーズになる場合もあります。
▼矯正で抜歯4本を一気に行うリスク
一方で、一度に4本の抜歯を行うことにはリスクも伴います。
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痛み・腫れが強く出る
複数本の抜歯によるダメージが一度に加わるため、痛みや腫れが大きくなる可能性があります。特に、回復期間中は食事や会話に不便を感じることがあるでしょう。
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出血や感染のリスク
抜歯後の傷口が多くなるため、出血が長引いたり、感染のリスクが高まったりする可能性があります。特に、免疫力が低下している患者さまは注意が必要です。
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一時的な噛み合わせの違和感
抜歯後は、噛み合わせが不安定になり、一時的に食事がしづらくなることがあります。通常は矯正治療が進むにつれて改善しますが、最初の数週間は不便を感じるかもしれません。こうした違和感や不便、痛みなどは、標準的なケースよりも大きくなる点に注意が必要です。
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歯茎や顎へのダメージ
一度に複数本の抜歯を行うことで、歯茎や顎の骨に負担がかかる可能性があります。特に、抜歯後の骨の回復が遅れると、矯正治療の進行に影響を与えることもあります。
▼抜歯4本を一気に行うのはデメリットが大きい
このように、矯正歯科治療で抜歯4本を一気に行うのはリスクが高く、患者さまが被るデメリットも自ずと大きくなるため、その点は正しく理解しておく必要があります。繰り返しになりますが矯正治療の抜歯は1回に1本ずつ、または左右の2本ずつ行うことが基本です。特別な理由がない限り、一度に4本抜くのはリスクが高く、身体への負担も大きいため避けたほうがよいでしょう。抜歯は矯正治療の成功に直結する重要なステップです。焦らず慎重に進めることで、より安全かつ効果的な治療が可能になります。
▼まとめ
今回は、矯正で抜歯4本一気に行うことの可否やそれに伴うメリット、リスクについて解説しました。矯正治療における抜歯は、歯並びを整えるために必要な処置です。ただし、4本の歯を一度に抜くことは、通常の治療計画では推奨されません。患者さまの健康状態や治療の進行具合に応じて、適切な抜歯方法が選ばれます。抜歯の進め方について不安がある場合は、担当の歯科医師と相談しながら進めることが大切です。適切な治療計画のもとで進めれば、理想の歯並びに近づくことができます。